2人が本棚に入れています
本棚に追加
俺が裕介を哀れんでいると「バレンタインチョコ許すまじ議論」を繰り広げていた亮太と遥斗が、裕介の呪文が書かれた紙に興味を示し始めた。二人に丁寧にも呪文のことを説明する裕介。呆れる亮太と遥斗。だが裕介のバレンタインを抹消するという意見には賛成らしく、今度は3人で騒ぎ出した。
俺はそんな3人をぼんやり眺めていると、不意に話の矛先が俺に向いた。
「そういえば、なんで湊は俺らの会話にあんま入ってこないんだよ?」
これは亮太。
「ここ数年毎年集まっているが、佐久間はいつも俺たち会話を遠くで見守っているという感じだ」
これは遥斗。
「佐久間湊、さては貴様つがいの女がいるな!?それともアッチ系なのか!?」
若干キャラがブレてるこれは裕介。
3人は俺をまじまじと見つめる。もう黙っていることはできなさそうだ。
「あれだよ、テレビでギャーギャー騒いでいるから独り身なのが馬鹿にされてるみたいでなんか悲しくなってくるから集まってるだけだよ。別に彼女欲しいとは思わないんだけどな」
俺がこう話すと、3人は納得していないようだった。
「湊、独り身が悲しいのはともかく……。彼女いらないとか本気か!?」
「佐久間、俺たちの仲だ。嘘はよせ」
「やはり貴様アッチ系なんだな!?」
口々に喚く3人。言い逃れはさせてくれ無さそうだ。仕方がない、幼稚園からの付き合いである亮太にさえずっと内緒にしてきた俺だけの秘密を明かすしかない……。
「俺は別にホモじゃない。そして彼女がいらないというのも本当だ。だがな……」
「「「だが!?」」」
最初のコメントを投稿しよう!