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第1章 過去からの来訪者
あの時…君はなんて言ったの?
クルクル回る観覧車の中でそれは伝わることも無く終わった
その後直ぐに
君は…交通事故で僕の元から消えていった
「行ってきます」
これでもかって言う位の青い空の下、少年は欠伸をしながら家を出る
「はぁ…あっついな」
夏の日差しにも近いそれは雨でも振らないかと思いたくなるくらい暑く、雨でも降らないかなと考えながら学校に続く道を歩く
すると後ろから
「おはよー!秋君」
「元気だな…夢」
幼なじみの夢が偶然通りかかる
「挨拶は?」
「はいはい…おはよーおはよー」
「一回でよろしい!」
「お前は俺の母親か」
なんていつもと変わらない話をしながら登校する
小さい頃から散々歩いたこの道を
色々染み付いて離れないこの道を
「そう言えば…明日だよね…」
「…ん?」
「桜が交通事故に…」
「そっか…もうそんなに経つのか…」
「うん…私は…あの日…傍にいれなかったけど…」
「俺らは大事な奴を失った…」
「…」「…」
2人が沈黙しながら歩き続ける
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