第1章 過去からの来訪者

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「あれは…秋くんは悪くないよ…」 「いや、俺のせいだ…俺がちゃんとあいつの待ち合わせに時間より早く着けばあんな目には合わなかった…」 秋は余り笑わない顔を曇らせる 「…それは…桜だって…あんなに早く向かうから…」 夢がフォローを入れようとするけど秋はすぐに 「夢、桜は悪くない…悪くないんだ」 と大きな声で遮る。 「それは!!…分かってる…不注意だったのは相手なのも…」 夢は、びっくりしたような表情で言い返す。 「…アイツには会えないしいなくなっちゃったけど…最後にあいつの声を聞けてよかった…そう思う…ただ…」 秋が空を見上げ、少し悲しそうな顔をしながらそう言うので夢は少し心配になりながら聞き返す。 「ただ?…」 「観覧車であいつが言った言葉をもう一度聞きたい…」 秋が空を見上げたまま悲しそうにそう呟く あの日桜が残した言葉を秋は何度も思い出す。 何度も何度も それでもいまだに何て言ったのか 何を言ったのか分からなかった。 秋はその時、笑って誤魔化していたがその顔を見て桜の表情が曇ったのを覚えていた。 「きっとそれは悪いことじゃないよ…多分」 夢は少しだけ微笑む 「だといいけど…」と呟いた秋は黙り出す。 長い沈黙をしながら再び歩き続ける。 結局学校に着くまで二人が喋る事は無かった。 市立縁(えにし)高校 県の中ではまあまあの成績、実力を持っ高校で 毎年、各部の部門でそれなりの成績を残す者がでている 「何が縁だよ…部活に縁があっても仕方ないじゃねぇか…」 教室でぐでっとしていた 秋がそう呟く 「部活だけじゃないよ?ちゃんと勉強、縁結び、そして願い事が叶うって言うジンクスもあるんだから」 前の席の夢が振り向きながらそう言うがどうでもいいとそっぽを向きなおす
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