2章 それぞれの過去

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「あーもー、うるせーんだよ。俺が下手に出てりゃいい気になって。ちょっとはこっちの身にもなってほしいね」 口調が変わった瞬間、恐怖を覚えた。 「ごめんなさ......キャッ」 ベットでゴロゴロしていた私に覆い被さってくる。 「止めて!離して!」 「男の前でベットで寝てるとか、誘ってるようなもんじゃん」 「やだ!警察呼ぶよ!」 「呼べるもんなら、呼んでみろよ!」 男の言う通り、全く動けない。 「た、助けてー!誰かー!助け......」 目の前が真っ白になる。何が起きたかわからなかったが、頬が熱い。 「うるっせーんだよ!」 今度は、腹部に激痛がはしる。 殴られた?蹴られた? ピーンポーン ちょうどいいところに母が帰ってくる。 「お母さん!助けて!」 「なーにー、紅羽」 母が部屋までやって来る。やって来た母に、必死で説明した。 聞き終えた母は一言。 「それで?」 えっ? 「あなたがいつまでも反抗するからでしょ?さっ、ご飯にしましょう。祐介さん、お昼食べた?」 二人は話ながら何事もなかったかのように去っていく。 嘘でしょ? 私はその場で茫然とするしかなかった。 その日から、あの男の暴力が始まった。
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