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「あーもー、うるせーんだよ。俺が下手に出てりゃいい気になって。ちょっとはこっちの身にもなってほしいね」
口調が変わった瞬間、恐怖を覚えた。
「ごめんなさ......キャッ」
ベットでゴロゴロしていた私に覆い被さってくる。
「止めて!離して!」
「男の前でベットで寝てるとか、誘ってるようなもんじゃん」
「やだ!警察呼ぶよ!」
「呼べるもんなら、呼んでみろよ!」
男の言う通り、全く動けない。
「た、助けてー!誰かー!助け......」
目の前が真っ白になる。何が起きたかわからなかったが、頬が熱い。
「うるっせーんだよ!」
今度は、腹部に激痛がはしる。
殴られた?蹴られた?
ピーンポーン
ちょうどいいところに母が帰ってくる。
「お母さん!助けて!」
「なーにー、紅羽」
母が部屋までやって来る。やって来た母に、必死で説明した。
聞き終えた母は一言。
「それで?」
えっ?
「あなたがいつまでも反抗するからでしょ?さっ、ご飯にしましょう。祐介さん、お昼食べた?」
二人は話ながら何事もなかったかのように去っていく。
嘘でしょ?
私はその場で茫然とするしかなかった。
その日から、あの男の暴力が始まった。
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