1章 出会い

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聞こえていないのか、どんどん近付いてくる。とうとう、壁まで追い込まれた。 私の顔の横の壁に手をつき、体重をかける。 最悪 とうとう、私の目の前にどアップで彼の顔がある状態になった。 つまり、壁ドン 「何?どい......」 「ここから出ていって」 「はぁ」 ココカラデテイッテ 彼の言葉をなかなか変換できない。 「二度とこの屋上に近寄らないって約束したら解放してあげる」 「嫌だ」 自分でも驚くほど即答していた。 「はぁ?」 彼の声が一気に低くなる。 「いいから出ていけよ。迷惑なんだよ」 「あたしだって困るのよ」 「何で?友達いないとか」 「まあ、あってる。でもいないんじゃなくて作らないの。面倒なだけだし、自分の時間がなくなる」 そう言うと、彼は驚いた顔をした。 「そんなこと言う女もいたんだ」 「何その偏見」 「いやー、そうか」 そう言いながら手を緩めた彼から、即座に距離をとる。 「あはは、そんな警戒しなくても、襲ったりしないよ」 また、最初の口調に戻った彼に質問する。 「何であたしが出ていかなくちゃいけないわけ?」
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