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聞こえていないのか、どんどん近付いてくる。とうとう、壁まで追い込まれた。
私の顔の横の壁に手をつき、体重をかける。
最悪
とうとう、私の目の前にどアップで彼の顔がある状態になった。
つまり、壁ドン
「何?どい......」
「ここから出ていって」
「はぁ」
ココカラデテイッテ
彼の言葉をなかなか変換できない。
「二度とこの屋上に近寄らないって約束したら解放してあげる」
「嫌だ」
自分でも驚くほど即答していた。
「はぁ?」
彼の声が一気に低くなる。
「いいから出ていけよ。迷惑なんだよ」
「あたしだって困るのよ」
「何で?友達いないとか」
「まあ、あってる。でもいないんじゃなくて作らないの。面倒なだけだし、自分の時間がなくなる」
そう言うと、彼は驚いた顔をした。
「そんなこと言う女もいたんだ」
「何その偏見」
「いやー、そうか」
そう言いながら手を緩めた彼から、即座に距離をとる。
「あはは、そんな警戒しなくても、襲ったりしないよ」
また、最初の口調に戻った彼に質問する。
「何であたしが出ていかなくちゃいけないわけ?」
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