1章 出会い

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「ばれたら困る」 「?」 「つまり、僕らがここにいることがばれたら困るんだよ。女が追いかけてくるから」 「そう。でも私は誰にも言ったりしてないし、誰にもバレてないから」 「万が一ってことがあるだろ?」 「嫌だ。だったら教室で女の子に囲まれて食べればいいじゃん」 「それが嫌なんだよ」 「だったら私も一緒。明日も来るから」 「は?」 まだ何か言いたそうだったが、聞いていないふりをして、教室へと向かった。 「ねえねえ、桐ケ谷湊って知ってる?」 教室に戻って、隣の席の子に聞いてみた。 「知ってるもなにも......」 「キャー!」 彼女の言葉は、黄色い悲鳴で書き消されてしまった。 「桐ケ谷くーん!」 「カッコいい~!」 ああ、そういうことね。 あれは、大変だ。 すると、当の本人、桐ケ谷湊はこっちに向かってくる。 大勢の好奇の視線も一緒に。 何でこっちに来るのよ! 「見ーつけた。まだ話は終わってないよ」 爽やか笑顔で話しかけてくる。さっきとは違う雰囲気に、鳥肌がたった。皆の視線は、嫉妬と好奇。そして少しの驚きが入り交じったもの。 「私は話すことないから。っていうか、何で来たのよ!」 最後の方は小声で訴えたが、この人は、人の話を聞かないらしい。     
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