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「ばれたら困る」
「?」
「つまり、僕らがここにいることがばれたら困るんだよ。女が追いかけてくるから」
「そう。でも私は誰にも言ったりしてないし、誰にもバレてないから」
「万が一ってことがあるだろ?」
「嫌だ。だったら教室で女の子に囲まれて食べればいいじゃん」
「それが嫌なんだよ」
「だったら私も一緒。明日も来るから」
「は?」
まだ何か言いたそうだったが、聞いていないふりをして、教室へと向かった。
「ねえねえ、桐ケ谷湊って知ってる?」
教室に戻って、隣の席の子に聞いてみた。
「知ってるもなにも......」
「キャー!」
彼女の言葉は、黄色い悲鳴で書き消されてしまった。
「桐ケ谷くーん!」
「カッコいい~!」
ああ、そういうことね。
あれは、大変だ。
すると、当の本人、桐ケ谷湊はこっちに向かってくる。
大勢の好奇の視線も一緒に。
何でこっちに来るのよ!
「見ーつけた。まだ話は終わってないよ」
爽やか笑顔で話しかけてくる。さっきとは違う雰囲気に、鳥肌がたった。皆の視線は、嫉妬と好奇。そして少しの驚きが入り交じったもの。
「私は話すことないから。っていうか、何で来たのよ!」
最後の方は小声で訴えたが、この人は、人の話を聞かないらしい。
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