前途多難な思い人

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あいつが転校してきて10日。 周りの奴らは俺があいつに惚れてるてみんな知ってる。 そやのに、あいつはなんで気づかんねん? つき合おうて言うても、どこに?なんてボケをかますし。 舌なめたっても平然とたこ焼き食うてたし。 涙目になってんの、めっちゃかわいかったけど。 でもひょっとしてこんなことには慣れきってんの? あんな純情美人な顔をして、何人もの男を転がしてきたとか? 「なあ、俺お前が好きや」 やっぱこれかとストレートに告白したら、にっこり笑って「ありがとう」て。 なんや、その返事は。 「東京の友達には大阪は怖いところだ、絶対嫌われていじめられるから覚悟していけって散々脅されて来たんだけど、そんなことなくて嬉しいよ」 …どんだけ偏見もって大阪に来とんねん。 ていうか、俺の言うた好きはそんな意味の好きやない。 「あんな、俺はな、お前が好きやて言うてんねん」 「うん。僕も好きだよ」 両想いになれた気がまったくせんのは気のせいちゃうよな。 前途多難な思い人を前に、俺は気合を入れなおす。 負けへんで、お前は俺が落とすてもう決めたんや。 完
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