29(承前)

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 広大な軍用空港の向こうの端では、激烈な攻撃が応酬されていた。ミサイル攻撃にはアンチミサイルがジャリワット空軍基地から発射されていた。独立王道軍は圧倒的な火力で、飽和攻撃を仕掛けている。敵のミサイル防衛網の数と火力を上回る攻撃力で、決めにかかっているのだ。現場の兵士の士気は高かった。できることなら、日乃元から実体のないゴーストとして派遣されたミドルティーンの子ども兵士に、最大の手柄をさらわれたくないのだろう。兵士ならその気持ちはよくわかった。自分たちで決めたいのだ。  攻撃開始から数分遅れて、滑走路にも動きが見られた。戦闘機と戦闘ヘリコプターのスクランブル発進が始まろうとしている。アンチミサイルが撃ち漏らした独立軍のミサイルが、広大な滑走路のあちこちに着弾する。
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