29(承前)

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 ジャクヤがのんびりといった。 「戦闘機は意外ともろいんやな。滑走路にひとつ穴が開いたら使いものにならへん」  タツオはいった。 「天童家の呪法は発動しているのか」 「ああ、だいぶ前に呪いをかけたんよ。何発か落ちなくてもいいミサイルが、滑走路に落ちてると思うんやけど」  戦場での運を左右する天童家の異界の能力だった。敵に与える損害は確率でしか計算はできないが、戦術支援AIの精密計算では運の分量を7~8パーセント左右することが可能だという。この数字を甘く見てはいけない。  ジャクヤの手法は敵にも味方にも同様に作用する。敵軍の幸運を7パーセント削り、友軍の幸運を7パーセント増したとすると、それだけで総戦力の差は14パーセントも変動するのだ。ジャクヤの呪法は目立つことはないけれど、今回の作戦ではたったひとりで2000人の連隊に匹敵するほどの巨大戦力だった。
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