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結局どうしようか。食事に連れ出す事も考えたけれど、当日どうなるか分からないから予約もできない。ファウストの場合、突然トラブルが起こるとそっちにかかりきりになる。
当然国の事だから恋人なんて後だし、そうしてもらわなければならない。お付き合いを始めてからダメになったなんて言われたら、ランバートの屈辱だ。
なんとなく気が重たいままウルーラ通りを歩いていると、不意に見た事のある顔があった。
「あれ? ランバート?」
「オスカル様?」
以前ファウストと行った事のある宝飾店の前にオスカルがいる。私服に着替えて、店の紙袋を手にしていた。
「どうしたんですか?」
「ちょっとね。どうしたの、そんなに沈んだ顔で」
よほど沈んで見えたらしい。首を傾げてそんな風に言われ、ランバートは曖昧に笑った。
「…あ、ご飯食べた? 僕まだなんだよね、付き合ってよ」
「え?」
「ほら、早く!」
そう言って腕を引かれる。あたふたとしている間に、ランバートは飲食店の多いラセーニョ通りへと来ていた。そこにある、少し奥まった店に引き込まれる。雰囲気のいい場所で、入ると直ぐに店員が来て個室へと案内された。
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