余韻明けて

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 ぶぅ、と頬を膨らませるオスカルにファウストはいい顔で笑う。なかなかこうした話をする事がないから、たまにはいいものだ。 「それにしても、ランバートも感情が豊かになってきたね。ふふっ、『L』だって」 「あぁ、まったくだ」  あいつから束縛を見るとは思わず、昨日は我慢がきかなかった。あいつでも流されると言うことがあるのだと、嬉しくもあった。 「ランバートのやつには『F』?」 「あぁ」 「バカップルじゃん!」 「お前らだって大概だろ」  オスカルといい、シウスといい、恋人を甘やかしたい奴は多い。しかも全員ベタベタに甘やかすタイプだ。  それを言えば、オスカルは特にだろう。エリオットがそれを喜ぶタイプとは思えないが。 「まっ、良かったね。でも、それならどうして朝あんなに怒ってたの?」 「……」  そう、思い出したくない所を指摘された。  朝一緒に食事を取るとき、ランバートは一切話をしてくれなかった。最初は分からなかったが、ラウルがチラチラこちらを気にしていたから察した。我慢出来ずに、昨日背中に跡を残したからだ。 「怒らせるような事したんでしょ」 「そんなところだ」 「もぉ、程々にしなよ。喧嘩もいいけど、度を超えると別れ話になるよ」 「…以後、気をつける」     
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