悩み

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 十月目前、ランバートは少し悩んでいた。それというのも、ファウストの誕生日が目前に迫っていたからだ。  悪い事に平日で、夜の時間しか一緒にはいられない。  それでも、一緒に過ごしたいと思う自分に少し驚き戸惑っている。今まで『誕生日だから一緒に』という感情を持っていなかったからだ。  何をしたらいいか、思い浮かばない。皆がパーティーを開いてくれて、とても楽しくて嬉しかった。だが、平日は流石に無理だ。それに他の人に声をかけて賑やかにするのもいいけれど、二人で過ごしたいと思ってしまう。  独占欲…だろうか…。  思うとまたカッと熱くなる。そんな自分を叱責して、頭を軽く振った。 「誕生日の過ごし方?」  ルカの店に来て、ランバートは項垂れて聞いた。隊の皆に聞く方法もあったけれど、いたたまれなくて後回しにした。  こういう時ルカは心強い。ファウストの事をよく知っている。 「兄さんの誕生日って、お祝いしたことがないんだ」 「そうなのか?」     
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