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「うん。シュトライザーの家に入ってから騎士団に入るまでの数年は、ほとんど会えていなかったし。騎士団に入ってからは顔を出してくれるけれど、常じゃないしね。カードを送ったり、香水を送ったりはするんだけれど」
「そうなんだ…」
どうしよう。自分がこんなにもイベント事に不向きだとは思っていなかった。
困り果てて溜息をつくと、ルカはとても穏やかな顔で笑った。
「特別なんて要らないと思うよ」
「そうかな?」
「うん。ランバートさんがいて、笑って『おめでとう』って言うだけで兄さんメロメロだよ」
「メロメロは余計」
言うと笑われる。この人もけっこう下世話だ。でも、なぜか力が抜ける。
「プレゼントも迷ってるんだよな」
「兄さんのプレゼントね」
ルカまで腕を組んで悩んでくれる。実はこれも悩みの種だ。
ファウストは装飾品をつけない。剣を握るから当然指輪やブレスレットの類いはつけない。更に言えばネックレスもしない。ピンは騎兵府団長の証である一つのみ。剣帯の飾りは既に一つついているから、これ以上はいらない。
「何が好きなんだろう…」
「うーん……子供?」
「俺産めないって…」
人間という種は超えられない。
「じゃあ、動物」
「騎士団はペット禁止」
馬の手入れとかはあるし、ネズミ退治に猫はいる。だが、明確なペットは禁止だ。
「ランバートさん、何か考えてたのある?」
「…家」
「家…」
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