余韻明けて

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――おまけ(ファウスト)  昼食も終わり小休止。のんびりとしているとオスカルが対面に座ってニヤリと笑った。 「どうだったのさ、昨日」 「無事にだ。助かった、オスカル」  こいつが指摘してくれなければ、おそらく気づかないままだっただろう。なんだかんだで手間をかけている。 「ねぇ、見せてよ」 「ん?」 「ピアス! 貰ったんでしょ?」 「どうして知ってる」  髪で隠れたこれを指摘する人間は少ない。こいつは鋭いが、まるで知っていたような言いぶりは気になった。 「知ってるよ。だって、これがいいんじゃないかって唆したの僕だし」  ニヤリと笑い、髪を軽くかき上げる。そこには青と緑の宝石をつけたピアスが光っている。 「エリオットの誕生日か」 「そういうこと。で、お悩み中のランバートと会って唆した」 「たまにはいいことをする」 「たまにはって余計だよ」  薄く笑い、ファウストも右の髪をかき上げる。金に青と黒の宝石、そして『L』のアルファベットが光るものだ。 「あっ! 三つついてる! いいなぁ、その手があったのか」 「いいだろ?」 「むっ、ちょっと悔しい」     
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