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呆れるような事だが、一時期本当にこれは考えた。考える度に、「ないな」と言い続けた。
それというのも、ファウストが私室でランバートを抱くときにどうしても周囲が気になるのだ。ファウストが本気で相手をすると、とにかく声を抑えられなくなる。そして翌日、誰にも聞かれていなかったかをひたすら気にするのだ。
そんな事もあって、ファウストが安息日を一緒に過ごす場所を王都の中に作ろうかと提案した事がある。
誰に気兼ねもなく過ごせる場所だ。一瞬グラッときた。だが、冷静になってそれは止めた。
何せ普段は騎士団の宿舎で過ごしている。何かあって遠征となれば、何ヶ月も王都に戻らない。
それでも家は維持してくれる人がいないとダメになっていく。人を雇って家を維持する費用を考えたら、あまりに贅沢過ぎる。
「家はないから安心して」
「うん、流石にね。結婚してからだね」
「いや、それでもない」
結婚したら同室になるらしいが、外に家は設けない。外に家って、かなり無駄だ。
「どうしよう…」
「うーん…。あっ、そうだ! ランバートさんにリボンつけて、『私がプレゼントです』ってメッセージカードつけてベッドに座ったら…」
「怖すぎるから嫌だ!」
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