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「ここの料理美味しいよ。単品で食べれるからおすすめなんだ」
言いながら、「何がいい?」なんて聞いてくる。既に夕食は食べたので、軽くデザートだけをお願いして、店員に伝えた。
「どうしたの? 何か悩み事?」
「まぁ…」
「ファウストの夜が激しいとか?」
「それは否定しませんが、別の事です」
「あっ、否定しないんだ」
なんて、笑ってからかわれる。そうするうちに料理がきて、オスカルは美味しそうに食べ始めた。
「オスカル様こそ、どうしたんですか?」
「ん? 実はね、誕生日プレゼントを買いに来たんだ」
「誕生日プレゼント?」
コクコクと頷き、オスカルは紙袋の中を出してみせた。高級感のある黒い箱は包装などはされていない。パカッと中を開けると、そこには綺麗なピアスが片耳分だけ入っていた。
「片耳だけ?」
「そうだよ」
そう言って、オスカルは自分の髪をかき上げる。右の耳にはこれとまったく同じピアスが揺れている。丸い金の輪の中に、二色の涙型の小さな宝石がキラキラ光っていた。
「今王都で流行ってるんだよ。恋人同士が揃いのピアスを片耳ずつつけるの」
「そうなんですか?」
「貴方は私のもの! みたいな」
「これ、エリオット様にですか?」
「そうだよ。エリオットの誕生日、十月の四日なんだ」
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