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それは知らなかった。ファウストと案外近い。
そして、少し羨ましく思えた。同じピアスを片耳ずつ。恋人の証のようなそれは、この人は自分のだと言っているようで…。
途端に、カッと熱くなる。自分でそんな事を思ってしまったのに戸惑った。
目の前で、オスカルがニヤニヤしている。そして何かを思い出して、より笑みが深くなっていった。
「そういえば、ファウストの誕生日も十月だよね。確か、十日?」
「っ!」
「誕生日プレゼント何にするか、決まったのかな?」
この人にますます勝てない。最近そんな事を思うようになったランバートだった。
「このピアスね、実はオーダーなんだよ」
「オーダー?」
少しだけ表情を戻して話が戻った。甘い物を食べながら聞いていると、オスカルはコクコクと頷く。
「って言っても、時間かかんないの。パーツを選んで、その場で作ってもらうのね。この金の部分も数種類、宝石の部分も色形様々。互いの誕生石を選んだり、思い出のものだったり。僕はね、互いの瞳の色にしてみた」
確かにこの宝石は二人の瞳の色にそっくりだ。
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