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この頃の俺達は、相手を自分より強いか弱いかで判断していた。野生動物と一緒だ。
それに、背が高く どこか大人びた空気をまとっていたツヨっさんには、六年生でさえ正面からはケンカを売らなかった。
そこに自分より遥かに小さい俺が向かっていき、互角の戦いをしたもんだから、ツヨッさんは一目置いてくれたようだった。
「でも、あれはねぇっちゃ」
「やっぱり?」
俺達は大笑いした。あの時の自分達の姿を思い出せば、笑うなという方が無理な話だ。
そしてこの日、俺達は初めて一緒に帰った。
だが、ツヨっさんの歩き方が何処かぎこちない……。
チビな俺に合わせて、歩幅を小さくしてくれていたのだ。
俺も少しだけ歩幅を大きくしてみた。
少しの大股歩きと、少しの小股歩き……。
後に癖になるこの歩き方が、お気に入りの靴を初めて履いた日の様に
何だかとても 嬉しかった。
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