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誠一との営業回りを終えて、帰社した私は、定時に近い時間にその日は退社した。
誠一と二人だけの営業会議をしたかったが、誠一が約束があるとかで、定時で帰ってしまったからだ。
きっと真由美とのデートだろう。
そのことを私がとやかく言う筋合いなど何一つない。
お似合いのカップルが、仕事後に仲良くデートするのは当然のことだ。
でも、少し…いや、かなり落ち込んだ気持ちで、帰りの電車に乗っている自分を、否定することは出来なかった。
会社の同僚の男の子が、仕事終わりに彼女とデートしているだけ、
という極めてありふれた事象にすぎないと、どれだけ冷静に受け止めようとしても、この沈んだ気持ちを否定することは出来なかった。
私は、今日は自宅最寄り駅の一つ前の駅で降りた。
久しぶりに、たまに行くダイニング・バーで少し飲んで食事もして帰ろうと思った。
こんな沈んだ気持ちで家に帰ったって、さらに沈んで、沈んで、底まで沈んでしまうだけだから。
バー・ソレイユに寄ると、お客さんは半分くらいの入りだった。
「いらっしゃいませ。美紀ちゃん久しぶり」
女店主の陽子さんが笑顔で迎えてくれた。
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