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プロローグ
昼過ぎから降り出した雪は、いつもの様な大きな牡丹雪だったが、夜には小さくさらさらした粉雪に変った。
「あいつ、暖かかったのかな」そんな変なことを思いながら、真っ暗な空から舞い降りてくる雪を眺めていた。
あいつが死んだのは、五年前のこんな雪の日だった。公園のベンチに座ったまま死んでいるのを、翌朝通りかかった小学生が発見した。警察から連絡を受けた俺が見たあいつは、全身を覆った霜が太陽の光を受け、光り輝いていた。まるで日向ぼっこをしているように、ちょっと上を向き、気持ちよさそうに目を閉じて微笑んでいた。
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