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はじまり
あいつと俺はその前日まで、一緒に雪の結晶の研究をしていた。その数年前に報告された、変わった雪の結晶に興味を持ったのがきっかけだった。結晶の発見者に連絡したところ、おもしろい話しをしてくれた。「結晶の内部に何かがあるように見えた」と言うのだ。
そこで、俺たちは、それが何かを解明することを目標に研究の準備をはじめた。もっとも、報告が夏の初めだったから、準備には十分すぎる時間があった。のんびりと準備を進め、準備を整え、更にしばらく経って冬がやって来た。やっと雪が降るようになって、俺たちは研究をはじめたのだが、最初の冬、報告された結晶を見つけることはできなかった。
結晶の発見者へは「これは局地的な現象かもしれない」と私見を伝えるに留まった。
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