二人の足跡

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 ある日のこと、その日は朝から天気予報が騒がしく視聴者に警戒を呼び掛けていた。その内容は、関東地方に数年ぶりの大雪が降るというものだった。その様な警報は毎年出されている。俺は、今年も雪がちらつくくらいだろうと思い、その日もバイト先の塾に自転車で向かった。  時刻が午後9時を回ったところで、窓の外がやけに白くなっていることに気が付いた。まさかと思い、授業中であるにも関わらず俺は窓を開けた。すると、教室には肌を突き刺さるような冷気が流れ込み、生徒から避難の嵐に合う。俺はすぐ様窓を閉めると、ごめんごめん、と頭を掻く。 「先生!雪積もってるの?」 「ああ、かなり積もってるぞ。まだ降ってるし、これは結構やばいんじゃないか?」  こんなことなら自転車で来なければ良かった、そう思いながらも、俺は授業を再開する。生徒は生徒で外の様子が気になって仕方ないのか、まともに俺の話を聞いてくれる人が殆どいなかった。
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