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夜もきっと10時をこえた。
あまりの寒さに、拾われなかった僕以外の他の2匹は体力を奪われると鳴くのをやめていた。
僕は努力をやめなかった。
声が枯れるまで何時間も鳴いていた。
寒さで体力が奪われても。
努力は報われると信じて。
【キキー!】
「なに?捨てられたの?」
ダンボールを覗いてきたのは自転車に乗った若いOLさんだった。
…やった。
…僕が1番鳴いてるの見てる。
OLさんが来たのがわかった瞬間、僕の兄弟猫もニャーニャーと必死に鳴いていた。
…ずるい!
…僕はずっと人を呼ぶために鳴いていたのに。
「3匹も無理よ。1匹なら」
そう連れていかれたのは僕の兄弟1匹。
鳴く努力を放棄した、弟の1匹だった。
…なんで?
…僕は鳴いていたのに。
…努力してたよ。
…みんな居なくなる、、、。
ダンボールには僕と僕の弟1匹が残った。
また人がいなくなると僕の弟は鳴くのをやめた。
頭に雪が少しずつ積もる。
僕は許せなくて、弟と喧嘩をした。
…努力しないで助かろうなんて、ずるい!
力だけは僕はあるみたいで、圧倒的に僕が引っかき、僕は弟に怪我をさせ、お互いダンボールの角と角でそれ以降近寄る事は無かった。
あいつは相変わらず鳴く事をやめ、うずくまり体力を温存している感じだった。
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