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チョンチョンと私がその子を突くと、その子はくすぐったいのか、けらけらと笑いながら雪の上を転げまわります。
私も釣られて笑いだしてしまいました。
私は何度もその子を突き、その度にその子は笑いながら、雪の上を転げまわります。
やがて、その子は私から少し離れて、ぴょんぴょんと飛び跳ねて私を見ていました。
私は、「おいで。一緒に遊ぼ!」って言ってるのかと感じました。
その子は、時折私の方を振り向きながら、雪の上を飛び跳ねて行きます。
誰も踏んでいない新雪をザクザクと踏み、私はその子を追いかけました。
「ねぇ。あなた誰? もしかして妖精さん?」
その子はコクリと笑顔で頷きます。
私はその日学校の事を完全に忘れて、一日中妖精さんと遊びました。
どの位時間が経ったか分からないけど、気が付くと私は自宅近くの森の中に居ました。
日が沈んだ頃には沢山の大人達が私を探しに来ました。
大人達に連れられて家に帰ると、お母さんとお父さんに物凄く怒られました。
妖精さんの事を説明したら、馬鹿言うなと更に怒られました。
あくる日、学校に行こうと外に出ると、妖精さんは私の事を待っていたかの様に、笑顔を浮かべて雪の上を飛び跳ねてます。
私はしゃがんで妖精さんの頭を撫でました。
「ごめんね。今日は遊べないの。昨日沢山怒られたから。また今度遊ぼ」
私が言うと妖精さんは首をコクリと傾げて、再び私の周りを跳ね回ります。
私は少し悲しくなり、もう一度妖精さんの頭を撫でて言いました。
「ごめんね。遊べないのよ。学校行かなきゃ。今度またね」
私の表情を読み取ったのか、妖精さんは私に飛び乗ってきました。
冷たい体を頬に摺り寄せてきます。妖精さんの身体はとても冷たかったけれど、不思議と私の心は温かくなっていました。
「もう、仕方ないね。学校まで一緒に行く?」
私は、妖精さんを手のひらに乗せて、突いたりお喋りしながら、学校へ向かいました。
妖精さんは、手の上でキャッキャとはしゃいでいました。
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