捜査ファイル8 シークレット・オブ・ヒズ・サクセス

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 「折田警視正、待ってください。女王をシロとするには、あまりにも不審な点が多すぎます」    「決定的な証拠がないんだ。仕方がないだろう」    兼好に返事をしながらも、折田はもう新しい事件のファイルに目を通している。    「証拠がなくても真実は真実です」    「その通りだ。女王アリはシロ。捜査は打ち切り。この現実が真実だ」    そうかな。この事件に限らず、現実こそ嘘で固められた世界じゃないのか。   兼好の脳裏に焼き付いている疑問が疼いた。   「もう忘れろ。何もなかったんだ。死臭なんてしなかったし、あそこにはもともと506匹しかアリはいなかったんだ。汚名を返上したい気持ちも分かるが、もう終わったんだ。 次を頑張ればいい。 安心しろ。お前の失敗はマスコミには決して公表しない。 だから、もう忘れるんだ」    折田は持っていたファイルを兼好に手渡した。 
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