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「あなたの今の発言は忘れます」
兼好は手渡されたファイルを折田の机に置き返した。
「現実を無視しておいて、その現実を真実だと言うのですか。書き換えられた戸籍や記録のどこに真実があるというのですか」
折田はおもいきり机を叩きつけ、その勢いで飛び上がるように立ち上がって怒鳴った。
「いつまでもアリの巣ばかり掘っている暇はないんだよ。それにこの一ヶ月、日本中の警察がこの捜査に手間取ったおかげで今、何が起こっているか知っているだろう。凡人までもがルパン気取りで、日本の治安は乱れきっているんだぞ」
「それなら俺一人でやります。迷惑はかけません」
部屋を出ていこうとする兼好の前に、折田が立ちはだかった。
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