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「残念ながら迷惑なんだよ。お前に勝手な行動を許して、また無実の者を連行されては、私のメンツは丸潰れなんでな。 お前にはしばらく謹慎してもらう。 おい、聞いてるのか?」
兼好は折田を押しのけて部屋の外に出た。
それから硬く握りしめた拳で、通路に備えつけてある非常ベルを叩き壊した。
ベルが、けたたましい喚き声をあげた。
すぐに部屋のドアが開き、非常ベルのように顔を赤くした折田が飛び出してきて、ベルよりも大きな声で騒ぎたてた。
「おい、一体、何があった? 鴨野、お前、早くなんとかしろ。これ以上、問題を起こすと私の首が危ない」
嘘で固められた世界。
てめえにとって大切なのは、日本の治安じゃなくて、てめえのメンツだろうが。
興奮する折田をなだめながら、鴨野も兼好と同じ事を考えていた。
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