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と言う潔癖症の姉を無視して私は後ろに陣取る。
信号が青になった瞬間、アクセルをベタ踏みした姉のせいで思いっきりタイヤがスタックした。
…ギュルギュルギュルギュル!!
空回りし続ける車輪。後続車はなく、横降り続ける雪の寂しさと理解者のいない孤独から私は溜息をついた。
すると姉はそこに過敏に反応して
「アンタが乗ってるから悪いんだ!だからこんな事になるんだ!」
じゃあ、そもそも何のために私を迎えに来たの!?という悪態をついた後か前か、車は暴れ馬のように溝をジャンプして走り出した。
左に曲がらなければ!という思いが強すぎたのだろう。
着地と同時に姉が思いっきりハンドルを切った為、後輪が暴れだしてTVのレースゲームのように車体がドリフトし始めた。
いや、もはやゲームを越えて緩やかな半月を描いて車体の前後ろが綺麗に反転し、浮気坂をバックしながら滑り落ち始めたのだ。
ガリガリ、ゴリゴリと姉がブレーキをベタ踏みするたびにを氷の路面が激しく削られているのがわかる。
女同士のキンキンした悲鳴が車中に響き渡る。
そこにスピーカーから流れる場違いなEDMが重なって鼓膜が破れそうなほど耳が痛い。
「お前のせいだ!お前のせいだ!」
姉は何か魔物に憑りつかれたかのようにハンドルをガンガン叩いて叫び続けた。
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