第4章 流星が消えるまで

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目を開けると、自分の布団の中にいてホッとする。 まだ薄暗い窓の向こうに意識を合わせて、夜明けが始まったばかりの時間帯なのだということに気付いた。どこかの家で飼育されている鶏の声が響き始める。 雨は上がっていて、空気は凛として冷たかった。 二階の窓を開けて外気を部屋に取り込みながら、畑の向こう側まで目を凝らすと。 地面にしゃがみ込む父さんの背中が見えた。 また、野菜を摘んでいるのね、と思った途端に。 父さんがグラリと横に倒れる瞬間を目撃してしまった。 私は急いで玄関へと走り出し、階段を滑るように降りて上着を鷲掴みした。 畑仕事用の自分の長靴を履いてドアを開けて、父さんのいる場所まで走っていく。 左右の間隔が違う私だけど、この時はもう夢中で父さんの所に行くことしか考えていなかった。 畑の真ん中を突っ切って、どんどん父さんが近付いてくる。 息を切らして全力で走るなんて、何年もしてこなかったことをしてるって解っていたけど、一刻も早く父さんを…… あと、少しの所で突然。 目の前が、真っ暗に………
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