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暗い場所で気が付いた。
遠くに小さな光りが視えるけれど、手元が何も見えない。
「美鈴」と、父さんが呼ぶ声が聴こえた。
「父さん!!?」と返事をすると、「俺は大丈夫だよ」と。
だけど、姿が見えない。
私は不安になって、動こうとしたけれど。
暗過ぎて自分が動いているのかさえもわからない。
「光に向かって歩きなさい」と、女性の声がした。
懐かしい声だ。
一気に、感情が高ぶってきて、私の両目から熱い涙が溢れ出した。
「美鈴…。迷わないで…、光に向かうのよ」
声を頼りに、私は泣きながら光に向かって歩き始めた。
さっきより、自分がどう動いているのか段々とわかってくる。
「父さんは?」と聞くと、声は「大丈夫よ。光の場所で待ってるわ」と教えてくれた。
私はひたすら歩いた。
どれぐらい歩けば、あの光に辿り着くのかわからないまま。
とても遠くにも感じるし、近くにも感じるその場所へ。
だけど、ふと。
夏鈴のことが気がかりになった。
振り返ろうとすると「あなたは夏鈴を信じて、自分の道を進むのよ」と、お母さんの声で制止された。
「夏鈴………」
もう、二度とこの腕に抱きしめてやれない娘を想った途端。
涙がまた溢れ出した。
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