第4章 流星が消えるまで

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暗い場所で気が付いた。 遠くに小さな光りが視えるけれど、手元が何も見えない。 「美鈴」と、父さんが呼ぶ声が聴こえた。 「父さん!!?」と返事をすると、「俺は大丈夫だよ」と。 だけど、姿が見えない。 私は不安になって、動こうとしたけれど。 暗過ぎて自分が動いているのかさえもわからない。 「光に向かって歩きなさい」と、女性の声がした。 懐かしい声だ。 一気に、感情が高ぶってきて、私の両目から熱い涙が溢れ出した。 「美鈴…。迷わないで…、光に向かうのよ」 声を頼りに、私は泣きながら光に向かって歩き始めた。 さっきより、自分がどう動いているのか段々とわかってくる。 「父さんは?」と聞くと、声は「大丈夫よ。光の場所で待ってるわ」と教えてくれた。 私はひたすら歩いた。 どれぐらい歩けば、あの光に辿り着くのかわからないまま。 とても遠くにも感じるし、近くにも感じるその場所へ。 だけど、ふと。 夏鈴のことが気がかりになった。 振り返ろうとすると「あなたは夏鈴を信じて、自分の道を進むのよ」と、お母さんの声で制止された。 「夏鈴………」 もう、二度とこの腕に抱きしめてやれない娘を想った途端。 涙がまた溢れ出した。
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