第4章 流星が消えるまで

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***** 目が覚めた時、お母さんの匂いがしていた。 ベッドには私と晴馬しか寝ていないのに、どういうわけかお母さんの匂いに包まれているような感覚がする。 起き上がり、窓辺に駆け寄って外を見渡すと やっと顔を出し始めた太陽のてっぺんがオレンジ色に光っていた。 それを見た瞬間に、私はすぐにお爺ちゃんの家に行かなくちゃいけない。 そんな気になって、寝ている晴馬を叩き起こした。 「どうした?」と驚いた晴馬が、私の頬を優しく撫でてきて。 「なんで、そんなに泣いてるの?」って不思議そうに言われて。 もう、間に合わないってわかって。 お爺ちゃんとお母さんが、同じ日の朝に親子揃って旅立ったことを悟ったのだった。 晴馬は、恵鈴と燿馬を起こして 私と子供達を車に押し込むように連れ出すと 早朝の田舎町の国道を猛スピードで走り出した。 私の悲しみ様に何かを感じたように、恵鈴も同じように泣き出して。 オロオロとしながら、燿馬が私と恵鈴の手を握りしめて慰めてくれて。 お爺ちゃんの家に着いたら、晴馬と燿馬が素早く車から飛び降りて走って行った。 私と恵鈴は二人で手を繋いで、もつれる脚をなんとか動かしながら、晴馬の背中を見つけてただそこを目指した。 収穫を終えた畑の真ん中で、お爺ちゃんもお母さんも倒れていて。 まるで眠っているような穏やかな顔をしたまま……… 私はお母さんにしがみついて泣くことしか出来なかった。
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