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朝。
目が覚めて、ベッドから起き上がる。
トイレに向かい、用を足して、台所に行くと水を飲み干す。
いつもの朝の風景に、代わり映えのない日常がそこにはあった。
すごくホッとする。
覚えていないけれど、物凄く遠い場所にいる夢を見た。
朝一に摘み取ったほうれん草を手に持って、齢88歳の父さんが畑から戻ってきた。
「起きたか?」
「おはよう。父さん」
「おはよう。ほら、味噌汁の具材を調達してきてやったよ」
ほうれん草を受け取ると、私は玉子焼きとほうれん草の味噌汁と、納豆ご飯を用意した。
そう言えば、父さんには言っておいた方が良いのかしら?
父さんはまだ恵鈴と燿馬の話は知らないはずだ。
私が言っても良いのか、取りあえず夏鈴に聞いてからにしよう。あの子をまた泣かせたくはないものね。
「今日は膝が少し痛い。低気圧でも来るんだろうか?」
「どうかしらね。私も古傷が疼く気がするわ。秋の嵐が来そうな予感がする」
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