第4章 流星が消えるまで

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朝。 目が覚めて、ベッドから起き上がる。 トイレに向かい、用を足して、台所に行くと水を飲み干す。 いつもの朝の風景に、代わり映えのない日常がそこにはあった。 すごくホッとする。 覚えていないけれど、物凄く遠い場所にいる夢を見た。 朝一に摘み取ったほうれん草を手に持って、齢88歳の父さんが畑から戻ってきた。 「起きたか?」 「おはよう。父さん」 「おはよう。ほら、味噌汁の具材を調達してきてやったよ」 ほうれん草を受け取ると、私は玉子焼きとほうれん草の味噌汁と、納豆ご飯を用意した。 そう言えば、父さんには言っておいた方が良いのかしら? 父さんはまだ恵鈴と燿馬の話は知らないはずだ。 私が言っても良いのか、取りあえず夏鈴に聞いてからにしよう。あの子をまた泣かせたくはないものね。 「今日は膝が少し痛い。低気圧でも来るんだろうか?」 「どうかしらね。私も古傷が疼く気がするわ。秋の嵐が来そうな予感がする」
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