第4章 流星が消えるまで

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でもこれじゃ、本当に揶揄ってるだけになっちゃうわね。 何か励ましの言葉を言ってあげたい。 私はそう思って、心を落ち着けてみた。 浮かんできた言葉は「タイミングが来るのを信じて待て」というものだった。 燿馬と恵鈴の手に自分の手のひらを重ねて、私は二人の目を交互に見詰めたわ。 大事なことを伝えるときは、相手の目を見た方がきちんと伝わるのよ。 「ねぇ、二人とも。 物事って案外計画通りにはいかないように見えるけれど、案外計画通りになっていくものなのよ。自分が感じているリズムと少しずれているせいで、遅れて後から追い付いてくるタイミングというものがあるわ。 あなた達は、お互いを大事にしようと考えてるわけだから、焦らないで。 不安なままそういう関係に踏み込んだら、相手にとって重たい存在になっちゃうのは嫌でしょう?」 「いやだ」と、燿馬は即答だった。 恵鈴は少し不安げな顔をして、唇をキュッと噛み締めている。 「燿馬は計画があるのよね? それは順調なの?」 「うん…。一応さ、勉強しっかりやって自分が将来何を職業にするか考え始めてはいる」 「そうなの?それは凄いじゃない!応援するから、がんばって! …で、恵鈴はどうなの?」 恵鈴は昏い瞳を濡らして、意を決したように口を開いた。 「私は、絵を描きたいの!!」
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