第四話 身代わりの恋

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「…別に」 私は、夫から目をそらしてリビングから出て行こうとした。 「そうやって俺の目を見ないのが証拠だよ。残念ながら今日の東京行きはなくなった」 「…え」 大橋の元へ車を取りに行き、九州から出るという、描いていた逃亡計画が崩れていく。 「サミットには議長が行く事になったからな、今日は休日だ」 落胆の色を隠せない私を楽しそうに見る。 「どーせ、あの男に会うつもりだったんだろ?」 ″そうはさせない″ と、私の腕を引っ張った。 「お前は、最低あと2年、家から出られない。 周りに心の病だと話してる」 「…2年?」 次の選挙が終わる迄? 「それまで、どうしても男が欲しくなったら大人の玩具でも買ってやるよ」 私をソファーへ突き放し、声を立てて笑う夫が、殺したい程、憎たらしく思えた。
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