1785人が本棚に入れています
本棚に追加
祐介は、軟禁を忘れたかの様に、慌てふためいて家を出ていった。
きっと、後援会や事務所等を走り回るんだろう。
呆気に取られていると、秘書の山脇さんが家を訪れた。
「奥様、先生を窮地に追い込んで申し訳ありませんでした」
頭を下げつつも、何かが切れたかのように山脇さんは夫への不満をぶちまけ始めた。
「自分は、暴言だけでなく暴力も受けておりました。その際の痣も医師の証明を得ています」
そして。
祐介には、あの棗以外にも遊ぶ女は多くいる事、 その度に公費を不正に流用してる事を明かした。
「…知らなかった」
経理は私がやっていたのに。
「このままでは奥様にまで飛び火してしまいます。早めに離別された方が宜しいかと…」
役所から取ってきたという離婚届まで置いて出ていった。
「ただ、あの大橋という男との再婚は難しいかと思います」
私への苦言も残して。
分かってる。
それでもー
私は、大橋モータースに向かった。
最初のコメントを投稿しよう!