第四話 身代わりの恋

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戻ってはみたもののー 何やら自宅近辺が騒がしい。 塀門の前に何人か集まっていた。 嫌な予感がして、車を裏に停めてから再度そっと近寄る。 家の前に居たのは、服部さんを始めとする商店街の人達だった。 きっと、不倫騒動を知って来たんだ。 「居ねーな、逃げたかな」 「嫁はいるだろ?税金使ってゴロゴロしてるだけなんだから!」 「あんな男のせいで商店街が窮地に追い込まれるなんて許せん!」 皆、怒っている。 というか、寧ろ、弱味を見つけて生き生きしているようにも見える。 …家に入れない。 躊躇っていると、 「服部さん!それはやり過ぎだよ!」 周りが止めているのに、服部さんはズボンを下ろして塀に小便をかけ始めた。 「構うもんか! どーせあの夫婦は居なくなる!嫁はこういう仕打ちを喜ぶに決まってる!」 酷い屈辱。 流石に腹が立ち、中に入って割る。 「いい加減にしてください!」
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