第四話 身代わりの恋

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二人きりになると、 「HP見たよ。だからってこんな事しなくても、な、」 大橋が、 ホースで汚れた塀に水をかけてくれた。 「そんな事してくれなくても良いのに」 どうせ出ていくのに。 「梓が必死に守ろうとしていたからだよ、この家を」 「…守る?」 「そう」 大橋が優しい目をして言うから、奥から何かが込み上げてきた。 私も、二人暮らしにしては大き過ぎる家を見上げる。 この十年。 私が守ろうとしていたものは何だったんだろう、と。 「壊れてしまってるのに、オカシイね」 もう、夫とはやり直せないのに。 「梓の人生の再構築に携われなくてゴメンな」 謝られると辛い。 やっぱり、もう、 「私とは会わないの?」 大橋は、小さく頷いた。
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