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二人きりになると、
「HP見たよ。だからってこんな事しなくても、な、」
大橋が、 ホースで汚れた塀に水をかけてくれた。
「そんな事してくれなくても良いのに」
どうせ出ていくのに。
「梓が必死に守ろうとしていたからだよ、この家を」
「…守る?」
「そう」
大橋が優しい目をして言うから、奥から何かが込み上げてきた。
私も、二人暮らしにしては大き過ぎる家を見上げる。
この十年。
私が守ろうとしていたものは何だったんだろう、と。
「壊れてしまってるのに、オカシイね」
もう、夫とはやり直せないのに。
「梓の人生の再構築に携われなくてゴメンな」
謝られると辛い。
やっぱり、もう、
「私とは会わないの?」
大橋は、小さく頷いた。
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