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大きな手。
最後まで冷たい手。
それを握り返して、離したくない、と思った。
「やっぱり、…」
″また、会いたい″
そう言おうとして、止めた。
「これからが梓の人生だよ」
少し 震える、低い声。
大橋を、
好きになった人を、これ以上苦しめたくないから。
大橋は、家の前に停めていた車に乗り込むと、猛スピードで走り去って行った。
後ろ髪引かれる事すら、許さないかのように。
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