第四話 身代わりの恋

61/75
前へ
/208ページ
次へ
大きな手。 最後まで冷たい手。 それを握り返して、離したくない、と思った。 「やっぱり、…」 ″また、会いたい″ そう言おうとして、止めた。 「これからが梓の人生だよ」 少し 震える、低い声。 大橋を、 好きになった人を、これ以上苦しめたくないから。 大橋は、家の前に停めていた車に乗り込むと、猛スピードで走り去って行った。 後ろ髪引かれる事すら、許さないかのように。
/208ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1785人が本棚に入れています
本棚に追加