prologue

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 まったくもって……うんざりする。  ベッドに立膝で座る私の脇で、女はだらしなく横たわっていた。睨むように見下ろされていることに気が付かないままに。  絶頂の定義がどこにあるかわからないが、無理やりそれを引きだされ力尽きて転がっている女。この個体に美しさも、愛おしさも何も湧き上がってこない。  吐精によって力を失った分身は、女と同様だらしなく横たわっている。性欲というものはやっかいだ。吐きだしたくてしょうがない、そんな気分になるのに終わってしまえば苛立ちばかりが募る。  テラテラと光っているのは女の体液。汚い、実に汚い。  ハンカチで覆いコンドームをはずし、脱ぎ捨てた下着とズボンを身に着けた。ネクタイの位置をなおし上着を羽織る。自分の全裸を見た人間は何人いるのだろうかと考えると可笑しくなった。  服を脱ぐのももどかしい、それぐらい自分を欲しがっていると女達は勘違いする。バカバカしい。肌を合わせる必要があるか?まったくない、だから脱がないだけだ。下を脱ぐのは衣服を汚したくないからに過ぎない。  部屋を見回し、自分の痕跡を探す。よし、何もない。 「出る」  その一言で部屋のドアが静かに開く。うやうやしく頭を下げる男にハンカチごとSEXの痕跡を押し付けた。男は黙ってそれを受け取り不透明の袋に入れた後、先に立って歩きだす。  女にうつつを抜かしている暇はない。私には目的があり、それを達成するためだけに生を受け生きて来たのだ。  だが私には望みが一つだけある。まだ見ぬウサギ……それを我が物にすることだ。
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