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廊下から見ると、教室の机の上にはサツキの持ち物だけがぽつんと残っていた。
後ろの扉から入ってバッグに手を置くと、突然「おい」と声をかけられた。
誰もいないと思い込んでいたサツキは「ひゃっ!」と声をあげてしまった。
「びっくりさせないでよ!」
「へえ、おまえでもそんな声出すんだな」
失礼なヤツ。
サツキとは同じ中学出身の達也だ。
地味でどう贔屓目にみても顔も良くないし成績もぱっとしないが、
サツキと同様冷めたところがあって本をよく読んでいるので
共通の話題には事欠かない。
あの本読んだか?○○って意外と面白いぞ
などと側によってきては
ぼそぼそと喋って離れていく。
かと思えば
「おい、女ってこういうときどうなるのか教えろよ」などと
真面目なのか不真面目なのか判断出来かねる質問をしてくることもあった。
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