犯人からの手記

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-私は人を殺しました。  昨日…8月23日の夜9時32分ぐらいのことだったでしょうか。  経緯はまぁ、こんな感じです。  昨日、一日中、死ぬくらいに暇でした。  何か面白いものはないか、刺激が足りない…と、家中を歩きまわっていました。何の変哲もない家なので、私を刺激的にさせてくれるようなものはありませんでした。  唯一、刺激を与えてくれるものといえば、本でしょうか。ですが、それすらも読み終わってしまい、更に暇でした。  だから、外に出ました。コンビニにでも寄って、ちょっくら雑誌を買おうと。そこまでは無事だったのです。  それは、家に帰る途中のことでした。  私を刺激的にしてくれる、唯一の「光」を与えてくれるものを見つけました。  それは、どこにでもありそうな一軒家でした。電気がポーっと付いている…だけど他の家とは違う点が一つ、あったのです。  「喧嘩」でした。外にまで聞こえる、大きな声で。それがあまりにも面白くて、大笑いしていました。  何しろ、一人暮らしをしてからというもの、そんなもの、出会う機会はありませんでした。  小さいころから、両親は不仲で、喧嘩は日常茶飯事でした。子供なら、それを嫌がるものでしょうが、私には何故か白かったのです。  すると、小さいころからやってみたかったことを思い出しました。  それは、「喧嘩中の夫婦をぶっ壊すこと」です。  何を考えているんだ、と言うと思います。私は常人とは違うので、こんなことをやってみたくてたまらなかったのです。  ですが残念ながら、大人になる前に離婚してしまい、機会はなくなりました。  なので、今しかない!と思ったのです。今を逃したら早々ないぞと。  すぐさま家に帰り、用意しました。  どんな手を下したか、なんて、これを読んでいるアナタはもう知っていることでしょう。  ただ私は、どんな手を使っても、人を殺したのです。立派な犯罪者です。タダでは済みません。  そこにはいません。どこにいるかは直に分かることでしょう。  私は人を殺しても、自分は死にたくなどないのです。  私は、これまで私を「立派」な大人にしてくれた人達と社会を裏切ったのです。こんなところに、ぬけぬけと居られる身ではありません。  最後に、殺された夫婦には特に思い入れはありません。  それでは、またどこかで。   2019年 8月24日  東雲伊弦
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