●花の意味●

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その日のコンパは、想定外の激戦だった。 他のメンバーのターゲットが、一人に絞られてしまったから。 瞳も、早々に戦線離脱して、料理を取り分けたり、オーダーを頼んだりと、『彼女達』のフォローに忙しそうだ。 ブランド品こそ身につけてないけれど、瞳は可愛い・・・と、見ていて思う。 ふんわりとした髪型に、丸い輪郭。 派手さは無いけれど、目も、鼻も、唇も整っている。 笑ったときの、片えくぼが、愛らしい。 ピリピリとした雰囲気を感じながらも、もくもくと料理を食べていると、そのターゲットが私に話しかけてきた。 「素敵なブラウスだね。白が似合うね」 「ありがとう」 私は、社交辞令と思い、営業スマイルと短いお礼だけを返した。 『彼女達』の、強い視線を感じながら・・・ その男子生徒が褒めてくれたブラウスは、近所のスーパーで2980円だったもの。 スカートは、安売りのお店で3980円で買った、タータンチェックのスカート。 多分、『彼女達』のバッグの1/10くらいだろう。 『彼女達』が、ちらっと視線で私に合図を送る。 はい、無視ですね、無視。 「話をするのは苦手?五月蠅かったらごめんね」 懲りずに、相手が聴いてくる。 「そうね、食べるのには邪魔かも」 あえて、嫌われそうな台詞を言う。 無駄な争いごとは、避けたい。 「料理、もっと取ってきてあげるよ」 私の冷ややかな対応に動じる事の無く、その人は言った。 私は、「いいです」と、言って、なにげないそぶりで、席を立つ。 すると、待っていたかのように、真澄が私の座っていた席に滑り込む。 私は、別段用もないけれど、立った手前、仕方なく、お手洗へと向かう。 その間に 、争奪戦を決める動きが始り、私が席に戻ると、大きく勢力図ができあがっていた。 私は、離れた席に座ると、一人で食事を続ける。 K大は、おぼっちゃまも多い。 お店も、いいお店で、料理も美味しい。 私は、それで満足だった。
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