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私と瞳は、一次会で彼女たちと別れる。
『彼女達』は、私と瞳に手を振り、男の子達に
「次はどこへいく?」
と、笑顔で相談を持ちかける。
それは、いつもの、暗黙の了解だった。
そして、振り落とされた男の子もバイバイされる。
『彼女達』との利害関係は、完全に一致していたはず・・だった。
が、今回は違っていた。
バス停で、瞳と二人で立っていると、彼女達全員が狙っていた男の子が、私に「帰るなら、送るよ」と言ってきたのだ。
見なくても、『彼女達』がどんな恐ろしい顔をしているのかわかる。
私は苦笑しながら、
「ごめんなさい、行くところがあるから」
と、断った。
「じゃ、連絡先教えて貰っても・・・いいかな?」
相手は、少しおずおずと、小声で言った。
私は、少しだけ笑顔を作って
「ごめんなさい」
と、小さく手を振った。
「そうか・・」
相手は、残念そうに、先で待っている集団の方へ走っていった。
「もてるのは辛いね」
瞳が、私の気持ちを知ってか知らずか、ふふっと小さく笑いかけながら言った。
「真澄達が怖いな・・」
「大丈夫、二次会では、もう別の人と仲良くなってるかもよ」
瞳は優しい。
「そう願うわ」
もし、今日出会った、あの女性に、もう一度会えたとして、さっきの男性みたいに、軽くあんな風にアプローチ出来るだろうか?
『出会い』はあった。
だけど、そこから先の事は、夜の闇のようだ。
私に、ヘッドライトはあるだろうか?
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