●鐘の音●

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『彼女達』とは、違う生 き方をしなくてはならないのだと悟った私は、「結婚」という選択肢を捨て、一人でも生きていける道を選ぼうと思った。 そこで考えたのが、教職に就くことだった。 裕福な家ではなかったけれど、教育熱心だった両親は、私が教職を選ぶ事には賛成してくれた。 大学進学は、チャンスかもしれないと思った。 都会に出れば、人も多い。 もしかしたら、私のような人~『同類』に巡り会えるかもしれない。 私の人生のパートナーが、もしかしたら、みつかるかもしれない。 そうしたら、一人で生きていかなくてもいいのだ・・・・・ そう考えるだけで、ひび割れ、乾いていた大地に、潤いの雨が降り注ぐような気持ちに満たされた。 地元にいれば、いずれは結婚を勧められ、半ば強制的に、自分が望まない人生のレールを歩まざるを得なくなる事は、容易に想像できたし、そうなるのは絶対に嫌だった。 私は、一人で、知らない土地へと飛び出すことに、迷いは無かった。
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