●揺れる花●

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●揺れる花●

『お金持ちお嬢様グループ』からは、その後、コンパのお誘いは来ない。 カフェであっても、挨拶くらいで、離れていく。 彼女たちが狙っていた『彼』は、余程、良い物件だったらしい。 仕方のないことだけど、そのあまりにも露骨すぎる態度に、私は、『彼女達』の「友達」の定義を想い出す。 『彼女達』は、いつもそうだった。 無邪気で、少し仲良くなると、何処へ行くのも一緒に行動したがる。どうでも良い手紙を、綺麗に折りたたんで、休み時間に渡してくる。 その手紙には、 『二人はずっと仲良し』 『雫の事、大好き。ずっと友達でいてね』 と、必ず書いてあった。 そんな彼女たちは、クラス替えになって私とは違うクラスになると共に、廊下で会っても知らん顔をしていた事を想い出す。 『利害関係の一致』で、おつきあいしていただけのことだってわかっていた。 でも、それでも『友達』だって、どこかで思っていたのかもしれない。だから、彼女たちの態度に、寂しさを感じてしまうのだ・・・・・・・お人好しの、雫。 年頃の女の子の、恋愛パワーは凄い。 どうしたら、自分が一方的に想いを寄せているだけの相手が私に関心を示しただけで、「彼に近寄らないで!!」と、私に言えるのだろう? そこまでエゴイストになってまで、守ろうとしているものは、彼ではなく、愛でも無く、自分自身なのだと思った。 その頃から、彼女たちが求めているものと自分が求めているものとが違う事に気付いていたのかもしれない。 素敵だな・・・と思える男子生徒も居た。 だけど、彼女たちほど、『酔える』相手ではなかった。 友人の紹介で、男の子と最初につきあったのは、中学二年の時だった。 もしかして、これが恋?と思ったり、会う事が、嬉しいと思える時もあった。 だけど、抱きすくめられた瞬間に、驚きと同時に私が感じたのは『違和感』だった。 その『違和感』に、私は嘘をつけなかった。 私にキスを教えてくれた男性の恋人は、友達のお兄さんの友達。 5つ年上の大学生だった。 優しい人で、まだ制服でデートに現れる私を、大事にしてくれた。 大学の専攻は、建築デザイン。 アートに興味を持っていた私は、建築デザインや、絵画などの美術的な話は楽しくて、二人で、映画館や美術館に出かけるのも楽しかった。 だけど・・・・・・・
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