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悠馬が大学生の頃、同じ学部で取っている講義が多く重なったこともあり、仲良くなった女子がいた。そしてその彼女が変な男に付きまとわれたことがあったのだ。メールや電話攻撃はなかったものの、常に彼女はその男の影に怯えていたらしい。
というのも、男はいつも彼女の傍にいた。どうやって生計を立てているのかと思うほど執拗にだ。今は何もなくても、男の行動がエスカレートした時が怖い、彼女にそう打ち明けられた時、悠馬はボディーガードを引き受けた。
「悠馬がボディーガードだと、彼女も安心しただろうな」
「そうなの。何かあった時、力負けはしないから」
感心する須王に、まるで我がことのように自慢する藍李。
悠馬はその様子を、苦虫を噛み潰したような顔で見ている。
「で、結局そのキモ男は撃退できたワケ?」
櫻子の問いに、悠馬は小さく「あぁ」と頷いた。
武勇伝にも関わらず、悠馬の反応は鈍い。
「いつものアンタなら、もっと得意げになってるでしょ?」
「そんなもん……なれねぇよ」
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