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「ひっきりなしに携帯を鳴らすもんだから、彼女は電話番号を変えた。何度もだ」
「何度も!?」
「それでもキリがなくて、ついには携帯を持てなくなったな」
「でもそれじゃ……」
いざという時に連絡が取れない。
悠馬は頷いた。
「そうなんだよ。たぶん、それを狙ってたんじゃないかと思う」
そして、男は悠馬の隙をついて彼女を連れ出してしまった。
「どうやって場所を突き止めたの?」
「たまたま共通の友達が目撃してて、助かった。それがなかったら……どうなってたかわからない」
「……」
悠馬が駆けつけた後は、あの強さだ。呆気なく男の自由を奪い、警察に突き出した。
「でも……遅かれ早かれそうなってた危険はあったと思う」
そう言うと、悠馬は優し気に笑い、櫻子の頭にポンと軽く手を置く。
「もっと何とかできなかったのかと思う。彼女を危険な目に遭わせずに、そしてヤツも警察に突き出すまでしなくてよかった方法はなかったのかって」
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