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大学生活は高校の頃とは全く違う。
広大な敷地に何棟も連なる学舎に数々の施設、そこに集う学生や職員、全てにおいて規模が桁違いだ。
入学した頃はそれらに感動し、戸惑い、毎日があっという間に過ぎていったが、三か月も経てばすっかり慣れた。生活パターンも安定し、今では仲の良い友人と過ごす日々を満喫している。
「櫻子、絵理華! 今日、ヒマ!?」
大学に入ってからの友人、古川真奈美が息を切らして駆け寄って来る。
真奈美の嬉々とした顔を見て、彼女が何を言わんとしているのかがすぐさまわかった。
「……また合コン?」
「やだ、なんでわかったの?」
「だって、真奈美ちゃんがそんな顔して走ってくるのはいつだって合コンのお誘いだもんね。ね、櫻子ちゃん?」
一番の友人である松野絵理華が小首を傾げながら櫻子にふわりと笑いかける。
絵理華はかなり裕福な家の育ちで、立派な箱入り娘だ。そのせいもあり、多少一般の感覚とズレていることもあるが、一緒にいて楽しくホッとできる相手だった。
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