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車のトランクに櫻子のキャリーを入れ、須王が運転席に戻ってくる。
藍李と櫻子は後部座席で早速話に花を咲かせていた。
二人の様子に目を細めながら、須王はゆっくりと車をスタートさせる。
「櫻子ちゃん、ごめんね」
「え? 何??」
いきなり藍李が謝ってくるので、櫻子は目を大きくして驚く。その理由を知っている須王が、後を引き取った。
「悠馬だよ」
「あぁ、明日まで出張なんでしょ?」
櫻子の応えに藍李が表情を和らげた。
「よかった……ちゃんと櫻子ちゃんには話してたんだ」
「だから言ったろ? ちゃんと連絡取り合ってるんだから、櫻子は知ってるはずだって」
「でも、メールとかチャットとかって、あの子面倒くさがってあんまりやらない方だから心配で!」
二人の会話にクスクスと笑みを漏らす。
相変わらず二人は櫻子に甘くて過保護だ。以前はあまりよくわからなかったが、一年離れてみてよくわかった。
自分がどれだけ甘やかされ、守られてきたのか。
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