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「そりゃ……ちょっとは」
「私が教えたってことは内緒ね」
「うん、内緒」
「うわー、気の毒だな、悠馬。こんなところで過去をバラされて」
「貴司も内緒だからね!」
「気の毒すぎて言えるか!」
声をあげて笑いながら、藍李はハァと息をつき、改めて櫻子を見つめた。
「たぶん、想いの強さなんだろうな」
「え……?」
「これまでの子は、皆向こうからだったの。ほら、面倒見いいところがあるから、モテるのはモテるんだよね。でも、悠馬自身はちょっと好きってくらいで……というか、友達の延長みたいな感じだったんだろうね、今思うと」
何となくわかる、と思った。
面倒見がよくて頼りがいがあるから、近くにいる女の子はほぼ皆、悠馬を好きになったんじゃないか。加えて、本人は全く意識していなかったと思うが、あらゆる危険から守ってくれるナイトみたいなところもあるから、お姫様願望の強い子なんかはきっとイチコロだったろう。
まぁこれは、シスコン故なのだが。
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