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「たぶん、あの子が自分からこんなに好きになったのは、櫻子ちゃんだけだと思う」
「ちょっ……藍李さんっ!!」
今度は櫻子が頬に手を遣り、俯く番だった。
しみじみとそんなことを言われてしまうと、体温が上昇していくのを止められない。顔が熱くて、しばらく顔を上げられそうにない。
「だから、櫻子ちゃんにはマメになれたんだよね。というか、悠馬自身もイギリスにいる櫻子ちゃんが気になってしょうがなかっただろうし」
心底嬉しそうに笑う藍李をチラリと盗み見て、また顔が熱くなる。
「なのに、出張とかツイてないな」
須王の言葉に藍李がコクコクと何度も頷いた。
「そうなんだよね。櫻子ちゃんの帰国日は絶対休みを取りたかったはずなのに」
「感動の再会は明日までお預けだな、櫻子」
「かっ、感動のって……!!」
兄にまでからかわれ、櫻子は益々顔を上げることができない。
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